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年金が15兆円の損失を出すも問題がない理由

GPIFが約15兆円もの損失を発表

 

1日のライブドアニュースによると、年金運用が約15兆円の赤字となり過去最大のマイナスを記録したと報じています。

国民年金や厚生年金の積立金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は1日、昨年10〜12月期の運用結果が14兆8039億円の赤字だったと発表し、四半期ベースでの赤字幅としては過去最大となりました。

米中貿易摩擦などの影響で世界的な株安を引き起こし、国内外の株価が大幅に下落したことが要因とされています。

 

年金は運用されているから損失が出る

 

私たちの納めた年金はGPIFという日本の独立行政法人が管理しており、これは貯蓄されているのではなく、法律に基づいて運用されています。

また納めた年金というのは私たちの老後に配られるために保管されていると思われがちですが、今の労働世代によって納められた年金というのは今の高齢者の方へ配られており、余剰分以外は貯蓄されてなく、分かりやすくいえばすぐに使われています。

また余剰分についても上で記載したように貯蓄がされているわけではなく、国内株式、国内債券、外国株式、外国債券に分けられてしっかりと運用されています。

債券というのは比較的安全な資産とされており、言うなればローリスク・ローリターンの商品が多いですが、その反面株式は債券に比べるとリスクがある資産とされており、ハイリスク・ハイリターンの商品と言えるので、株式への投資も行われている私たちの年金は市場の下落によりここまで大きな金額の損失を計上したということなのです。

 

 

消えた年金

 

ニュースなどで”消えた年金”という言葉を聞いたことがあると思います。

”消えた年金”というとその言葉の正体がわかりにくいのですが、要は運用によって損失を被ったことにより私たちの年金の評価額が減少したことを言っているのです。

テレビでは非常に話題となり、誰が責任を取るのかと責任問題にまで発展することもあります。

またテレビが行う街頭インタビューでも、あまり詳しくない人に話を聞き、”勝手に運用して勝手に損をするなどあり得ない。お金を返して欲しい”などといった内容を報道し世間を煽るのです。

 

 

 

年金は運用されるべき

 

確かに15兆円もの損失を出したところだけを切り取って聞くと、誰かが責任を取るべきという声が出ても不思議ではありませんが、そもそも法律の範囲内でポートフォリオが組まれ運用されており、そのポートフォリオも実に堅実に運用されるように設計されています。

”消えた年金”といい世論を煽るメディアは、これをネタにしたいだけで、実際のところ年金の運用が必要なことは少し勉強すれば分かる話です。

簡単に考えても年金が運用されるべき理由はあるのです。

 

  • 長期運用のため、貯蓄だとインフレにより元本毀損を起こす
  • 元本が莫大なため、莫大な配当収入を得ることができる
  • 資本主義では長期的にみて経済が成長していく

 

長期運用の為、貯蓄だと元本が毀損する

 

資本主義の世界では、物価は長期的に緩やかに上昇していきます。

つまり頑張って100万円貯めたとして、20年後に使おうとすると、20年前に100万円で購入できたものがインフレにより120万円必要だったりするわけです。

 

これはジェレミー・シーゲル著の株式投資の未来という本からのデータですが、1801年に”株”、”現金”、”国債”、”金”それぞれに1ドルを投資した場合の2001年の価値を表したグラフです。

株式はインフレによって収益が上がるため、それにつられるような形で597,485ドルまで価値が上昇していますが、一方の現金は0.07ドルまで価値を毀損しています。

データは200年間のものなのでここまで大きな差は生まれないものの、日本も国としてインフレを目指していることから、超低金利時代の現代に貯蓄をしておくと、期間が長期になればなるほど価値はみるみる減っていくこととなります。

 

 

元本が莫大なため、配当収入も非常に大きい

 

GPIFの現在の運用額は150兆ほどあり、投資界隈ではクジラと呼ばれています。国民の年金を預かっているため当然元本が莫大になりますが、投資をしているだけで配当金がもらえます。

配当金とは銀行預金の金利のようなもので、投資額に対して何パーセントといった割合で支払われます。

超低金利時代の現在、銀行預金は0.1%もあれば御の字ですが、株式であれば3%も珍しくはありません。
簡単に計算した場合、銀行預金では1500億円の金利をもらえますが、株式に投資しているだけで配当金は4兆5000億円ももらうことができるのです。
すべてを株式に投資しているわけではありませんが、これが長期間複利で運用されていることになるので、その差は加速度的に開いていくこととなります。

 

 

資本主義は成長し続ける

 

これはジェレミー・シーゲル氏のグラフを使って説明したものと同じ観点となりますが、資本主義経済では長期にわたって経済は成長し続けます。

するとグラフのように貯金をしておいた場合と投資をして運用していた場合では日に日に差が開いていくこととなります。

 

 

1年間赤字だからといって何の問題もない

 

15兆円の損失はメディアでも非常に多く取り上げられていましたが、そもそも株式市場や債券市場で運用している場合、毎年資金を増やし続けるというのは非常に難しく、相場の状況によっては損失を出す年も必ず出てきます。

 

上のグラフは2001年以降のGPIFの運用実績を表したものです。

棒グラフが四半期別の収益を表しており、折れ線グラフが累計の収益を表しています。
2001年以降運用開始直後はマイナスに転じたものの、長期になればなるほど収益額は増え、リーマンショック時でさえ累計赤字に転落していないのです。

現在56兆円以上の資産を増やすことに成功しており、長期運用の大切さを実感するグラフとなっています。

こういった年金などの問題について私たちは短期的に見て収支の責任を問うのではなく、長期的な観点で向き合っていく必要があるのです。